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Lumiere du Soleil

ワルツ・フォー・ヴィーナス
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    君は



    夢を見ているかい?



    夢の中では空を飛ぶことも、馬より速く走る事も、
    まだ見ぬ愛しの君に会う事も容易い。



    そのあまりに甘美な一時に、人はそれが夢の世界だという事も忘れ、
    まるでそここそが現実だと錯覚してしまう。



    ふふ・・・「夢中」とはよくいったものだね。



    だが人はまた気付く。



    あまりにかけ離れた世界の風景に、色に、感触に。
    それに気付いたとき時、人は自ら「現実」と「夢」の世界の架け橋
    に火をかける。



    すっかり橋が焼け落ちて暗闇の底に落ち切った頃、人は目を覚ますのだ。



    そうして、まだ混沌とする意識の中、ほのかな温もりに包まれてこう呟く。



    ああ、夢だったのか、と。



    淡く、不確かに、記憶のスクリーンに映るもの。
    それは「儚い」がゆえに、人の夢。



    だから僕は思うのだ。



    僕は今、夢を見ているのだと。
    もしかしたらここへ来る途中、馬車の中で眠りこけてしまって・・・
    そして夢を見ているのだと。



    右へ振り向く。



    イアンだ。
    名だたる招待客が集まる中、広々とした空間の
    片隅で目立たぬよう本を読んでいる。
    なんだお前は?部屋でもホールでもやる事は変わらないのか?



    左へ振り向く。



    カミーラだ。
    こともあろうに「あの」ハウエルと戯れている。
    ベタベタベタベタ。
    カミーラ、この家の中で君だけは信じていたのに。



    そして正面。



    デリアだ。
    悪魔だ。
    いや、間違えた。
    「大」悪魔だ。
    悪魔に位があるのかどうかは知らないが望むなら悪魔伯爵の地位ぐらいは
    与えてやってもいいだろう。



    そしてその傍らにはアレだ。



    ジョルディだ。
    悪魔だ。
    いや、間違えた。
    「悪魔の棍棒」だ。
    あの悪魔伯爵にこれ以上武器が必要とは思えないが、僕の頬を赤く腫らした
    その腕前は「荒れ狂うコンチネンツァのミョルニル」と長く謳われる事に
    なるだろう。



    デリアがはにかむ。
    ジョルディの腕に手を回して。
    おいおい、棍棒の持ち方はそうじゃないだろう?



    いったいどういう事なんだ?
    夢の中とはいえ僕はジョルディに殴られた。
    そして次のシーンはこれだ。
    まるで二人は夫婦さながら・・・
    ジョルディの婚約相手はデリアだったって事か?



    説明を求めるようにもう一度イアンの方に振り向く。
    全てを察したような微笑みを返してくる。
    腹立つ。



    まぁいいさ。
    こんな夢もあるんだろう。



    この頬の痛みも、僕の知人たちの笑顔も、その中心にいる悪魔夫妻
    の抱擁も、全ては人が見る夢。



    そうだな、目が覚めて、ジョルディに会う事があったら言ってやろう。



    お前は、あのデリアと結婚することになるんだぞ、ってな。
    | 15:00 |